ドキュメント
ハルノは、弥生会計で帳簿をつける非上場企業の月次決算を担います。CFOとして帳簿を締める方にも、投資家の立場で財務をモニタリングする方にもお使いいただけます。各社がすでに作成しているエクスポートと明細表を読み込んで検証し、財務諸表パッケージ、残高照合資料、ポートフォリオダッシュボード、別建ての投資家向けレポートを作成して、ご確認いただける状態でお届けします。このドキュメントでは、レビューの進め方と、作成される資料の読み方を説明します。
ハルノとは?
ハルノは、各社がすでに作成しているファイルを読み込みます。弥生会計から書き出した財務諸表、Excel の財務報告パッケージ、残高照合資料、予算、請求システムや CRM の CSV エクスポートです。これらをもとに、1 社につき 1 つの統一元帳を作成します。その元帳に対して整合性チェックを実行し、チェックが見つけた問題は、それぞれ確認できる検出事項になります。そのうえで、同じ元帳から財務諸表パッケージ、残高照合資料、ポートフォリオダッシュボード、別建ての投資家向けレポートを作成します。
要となるのはチェックです。チェックはレポートを作成する前に実行され、たとえば次のような問題を探します。どの表示科目にも対応付けられていない残高を持つ勘定科目、「Per GL」(GL 残高)の数値が元帳と一致しない明細表、明細では一致していないのに一致していると示す手入力の差額。検出事項があっても、締め処理は止まりません。検出事項は、チェックがなければ 3 週目になって見つけていたはずの問題です。
作業は macOS アプリで行います。会社の追加、ファイルの取り込み、月の締めはアプリの操作で行い、資料を配布する前に、アプリが検出事項を表示します。アシスタントは帳簿のそばにいます。検出事項、差異、投資家向けの文案について尋ねると、締め処理そのものの数値に基づいて回答します。事業に関する判断は、お客様が行います。
ハルノでは各社を client(クライアント)と呼びます。フォルダ名、コマンド、ダッシュボードではこの語が使われます。
対象となる方
ハルノは、弥生会計で帳簿をつける非上場企業の月次の財務に責任を持つ方のためのものです。たとえば、次のような方です。
- 複数のクライアントの月次を締め、各社の財務諸表、残高照合、投資家向けの指標を手作業で作り直さずに済ませたいフラクショナルCFO。
- 毎月、各クライアントに財務諸表パッケージ、残高照合、ダッシュボードを納品するCFO代行会社や会計事務所の方。
- ポートフォリオの会社をモニタリングし、最初に注意を向けるべき会社を把握したい、VC、PEファンド・機関投資家の運用会社、ファミリーオフィスのCFOや財務担当者。
- すべての会社の現預金、バーンレート、ランウェイを並べて見比べ、各社の数値が整合しているかをチェックで確かめたいポートフォリオアナリストやオペレーティングパートナー。
会社が帳簿のつけ方を変えることはありません。ハルノは、各社がすでに作成している弥生会計の財務諸表エクスポート、Excel ブック、請求システムや CRM の CSV エクスポートを読み込みます。会計システムとのリアルタイム接続はありません。
入力と出力
会社が提出するもの
| 入力 | ハルノでの用途 |
|---|---|
| 弥生会計から書き出した財務諸表:貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書 | 財務諸表そのものです。損益計算書は、1 列につき 1 か月の形式で受け取る必要があります。キャッシュ・フロー計算書は勘定科目から組み立て直さず、会社が表示したとおりに取り込みます。そのため、ASC 230 では財務活動に区分される借入が営業活動によるキャッシュ・フローとして表示されている場合に、チェックで検出できます。 |
| Excel の財務報告パッケージ | 会社自身の表示形式です。科目マッピングの案はパッケージ内の数式から読み取るため、財務諸表パッケージでもパッケージの表示科目と小計がそのまま保たれます。 |
| 残高照合資料(Excel) | すべての明細表を再計算し、元帳と比較します。 |
| 財務諸表とあわせて送られた試算表 | 貸借の差額がゼロになること、残高のあるすべての勘定科目がいずれかの箇所に表示されていることを確認します。試算表だけを送ることはできません。 |
| 予算 | 表示科目ごとの予実比較です。 |
| 請求システムや CRM の CSV エクスポート、または顧客別売上の表計算ファイル | 請求書から、または記帳担当者がすでに計上した売上から、リカーリング収益を算出します。CRM の商談からは受注額と新規顧客数が得られますが、これらは売上ではありません。 |
| 月別の従業員数などの業務指標 | 従業員 1 人あたりの数値に使います。従業員数は提供されたものを使い、帳簿から算出することはありません。 |
| 明細レポート:売掛金の年齢表(明細)と取引先別の取引一覧 | 売掛金の勘定科目をお客様が指定すると、売掛金年齢表をそれらの勘定科目と突合します。また、前払いに関する質問事項を請求書そのものに基づいて解消します。 |
| 部門別損益計算書のエクスポート。1 ファイルにつき 1 か月分 | 部門別の営業費用です。 |
各社のファイルは、帳簿フォルダ内のその会社専用のフォルダ <Client>/exports/ に置きます。この表の入力をすべて送ってもらう必要はありません。入力が増えるごとにパネルとチェックが追加されます。ダッシュボードのカードは、その会社に裏付けとなるデータがある場合にのみ表示されます。
各入力に求められる形式と、受け付けられないものについては、「会社が提出するもの」をご覧ください。
締め処理が書き出すもの
| 出力 | 内容 |
|---|---|
| 財務諸表パッケージ | 会社自身のレイアウトによる財務諸表です。発行時点で未解決だった検出事項も記載されます。 |
| 残高照合資料 | すべての明細表を再計算したものです。「Per GL」、「Per schedule」(明細表残高)、「Difference」(差額)を示し、例外を明示します。 |
| 投資家向けレポート | 投資家に向けた別建てのレポートです。現預金、バーンレート、ランウェイ、財務諸表、直前期間との比較、支払能力パネルとその兆候を含みます。検出事項、照合ステータス、科目マッピング、差異ウォッチリスト、締めステータス、貸借対照表の CHECK 行は含みません。予実比較も、既定では含まれません。 |
| 修正履歴 | 月の報告後に修正再表示によって変わったすべての数値です。変更前と変更後の値、差額、その月のロックを解除した際に示された理由を記録します。締め処理のたびに書き出されるため、記録が空であれば、何も修正再表示されていないことを意味します。 |
| ポートフォリオダッシュボード | すべての会社を 1 つの画面にまとめたものです。現預金、バーンレート、ランウェイの横並びの比較、事業の健全性パネル、各社の検出事項と締めステータスを含みます。 |
ダッシュボードとレポートは macOS アプリで閲覧し、どれも PDF として書き出して他の人に送れます。修正履歴は CSV ファイルです。
各レポートの詳細は「レポートと締めのロック」を、ダッシュボードのパネルごとの説明は「ポートフォリオダッシュボード」をご覧ください。
レビューの進め方
レビューとは、月次締めのことです。会社の最初の月には、一度だけのマッピングのすり合わせが含まれます。それ以降の月は、締め処理だけです。
- 会社のファイルが届きます。その月のブックとエクスポートを、workbooks の下にあるその会社のフォルダに置きます。
- ハルノが科目マッピングの案を作成します。ファイルを読み込み、会社ごとの定義ファイル(spec、YAML 形式)を提案します。どの勘定科目をどの表示科目に集計するか、各小計がどのように構成されるかを定めたものです。案の大部分は会社自身のファイルから読み取るため、当て推量ではありません。
- お客様が REVIEW リストに回答します。ファイルからは読み取れない事項は、案の冒頭に REVIEW リストとして返されます。何を重要とみなすか、どの残高照合が欠けていても想定どおりか、勘定科目番号の各範囲がどの区分(資産、負債など)に属するか、そして資産計上の方針です。これらはお客様が判断する事項で、このすり合わせは 1 社につき一度だけ行います。
- お客様が承認すると、締め処理が実行されます。すべてのブックを取り込み、承認済みの定義ファイルを適用し、整合性チェックを実行し、財務諸表パッケージ、残高照合資料、投資家向けレポートを作成して、ダッシュボードを更新します。
- 締め処理が、報告した月をロックします。これは締め処理の最後のステップで、検出事項が未解決かどうかにかかわらず、報告したすべての月をロックします。ロックは「fully reconciled」(すべて照合済み)として、または締めた時点で重大度「高」「中」の検出事項が未解決のまま残っていた場合は「reported with exception」(例外事項ありで報告済み)として行われます。その後は、ロック済みの数値を変更するファイルは、誰かがその月のロックを解除して理由を記録するまで受け付けられません。ロックは、帳簿に対する判定ではありません。その月がどちらであったかを記録するものです。
- 資料を配布する前に、お客様が検出事項を確認します。各検出事項には、どのチェックで検出されたか、対象の勘定科目または表示科目、その数値が示されます。重大度「高」「中」の検出事項がない月は「clean」です。
実際には、最初の月とそれ以降の月の依頼は、次のようになります。
Acme と契約しました。ファイルは workbooks に入っています。設定をお願いします。
Acme の月次締めをお願いします。新しいブックが入っています。締め処理がファイルを受け付けなかった場合の対応を含む全体の手順は「レビューの流れ」を、各チェックの意味と重大度の仕組みは、検出事項とチェックの「重大度」をご覧ください。
ハルノが行わないこと
これらの制限は意図的なものです。ハルノは、数値を示せない場合は推測で埋めず、示せないことをそのままお伝えします。空欄はゼロではありません。
- 為替換算は行いません。各社は 1 つの通貨で報告し、金額が換算されることはありません。別の通貨を指定しているエクスポートは受け付けられません。その会社の報告通貨で書き出し直すことで解決します。ポートフォリオの合計では、異なる通貨で報告する会社どうしを合算しません。
- 集計は月次単位のみです。損益計算書は、1 列につき 1 か月の形式で受け取る必要があります。四半期の列は受け付けられません。ハルノは四半期を 3 で割るのではなく、月別のレポートを求めます。
- 費用の配賦は行いません。誰も部門に分類していない支出は独立した行に表示され、部門間で按分されることはありません。収益の区分に帰属していない売上原価が、区分間で分割されることもありません。
- ハルノがお客様に代わって方針を決めることはありません。資産計上基準額と耐用年数は事業についての判断を書き記したもので、それを示せるのはお客様か会社だけです。誰も定めていない基準額をもとに何かが報告されることはありません。重要性の金額基準には既定値 1,000 ドルが明示的に設定されており、REVIEW リストでお客様に確認または変更を求めます。減価償却方法の案が定額法になるのは、それが計算される唯一の方法だからです。基準額と耐用年数が示されるまで、明細表のチェックは判断を必要としない半分、つまり明細表と総勘定元帳の照合だけを実行します。
- 監査ではありません。チェックが確かめるのは、会社から送られた数値に整合性があるかどうかです。財務諸表が突合して一致するか、明細表が元帳と一致するか、残高のあるすべての勘定科目が表示されているか。「clean」の締め処理であっても、帳簿に対する意見を表明するものではありません。
- 継続企業の前提について結論を出すことはありません。支払能力パネルは、ASC 205-40 に基づく継続企業の前提に関する兆候、つまり評価の対象となる状況を報告し、評価そのものはお客様に委ねます。
- 差異は検出事項ではありません。予算超過が検出事項になることはありません。ダッシュボードは差異を示すだけで、それが良いか悪いかは判断しません。
- ダッシュボードのタイルに表示されるランウェイは、営業活動に基づくランウェイではありません。タイル自体には「Runway」(ランウェイ)としか表示されませんが、直近の現預金の増減(資金調達を含む)に基づいています。キャッシュ・フロー計算書が取り込まれている場合、支払能力パネルは営業活動に基づくランウェイを示し、その「Basis」列(算定基準)に、2 つのうちどちらを使ったかが示されます。
- しきい値は出発点です。一部の検出事項の判定に使うしきい値は、1 社の帳簿をもとに調整したもので、今後より多くの会社の帳簿で改めて検証することを前提としています。
ハルノが常にお客様に委ねる判断は、「お客様に代わって決めないこと」に一覧があります。
はじめ方
- 当社にご相談ください。お問い合わせフォームから、お客様のポートフォリオについてお知らせください。サブスクリプションは、ポートフォリオの 1 社あたり月額 ¥52,800(税込)です。
- ご契約後、当社チームがお客様と一緒にハルノを設定します。
- macOS アプリをインストールしてサインインします。macOS 15 以降が動作する、Apple シリコン搭載の Mac が必要です。
「インストール」をご覧ください。
- 帳簿を開きます。アプリはポートフォリオの画面で開き、各社のファイルをお使いの Mac 上の専用の帳簿フォルダに保管します。[帳簿]▸[帳簿フォルダを Finder に表示]で開けます。
- 最初の会社を設定し、その最初の月を締めます。
「最初のステップ」の手順に従ってください。
詳しくは、データの取り扱いとセキュリティの「データの行き先」をご覧ください。